REPORT

ツール・ド・シンカラ stage4 レースリポートと現地からの便り

6月1日~6日までインドネシアで開催中の「ツール・ド・シンカラ(UCI 2.2)」。
本日第4ステージが行なわれました。


スマトラ島沖地震の被災地で開催される「ツール・ド・シンカラ2010」も今日の第4ステージを終え残り2日となりました。
唯一日本から参戦している愛三レーシングは強豪イラン勢の強さを目の当たりにしながらも、今大会のエース鈴木謙一選手、別府匠選手を中心にコース状況を踏まえながら自分達の走りに全力を注いでいます。

ここまでで総合順位は別府選手12位、鈴木選手14位ですがトップとのタイム差は5分以上。残りステージも少なくなり、このタイム差を少しでも縮めどう総合順位をあげていくか。チームの底力に期待したいところです。

今日は金曜日。
イスラム教の礼拝が午後からあるため午前中にレースが終わる日です。


〔第4ステージ 81.2km〕
photo:Sonoko TANAKA


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昨日の第3ステージで団体3位になったので表彰を受けました
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photo:Sonoko TANAKA


昨夜から降り続けていた雨は朝には止み曇り空。スタート前に小雨が降り始めたが本降りまではいかず次第に止んでいった。しかし今回はよく雨が降る。乾季というのだが本当なのだろうか?やはり異常気象なのですかね・・・?

レースは朝8時30分にパレードスタートした。今日は金曜日でイスラム教のお祈りが昼からあり午前中にはレースを終えなくてはいけないため、いつもより30分早くスタートした。
パレードで7km走行後リアルスタート。アタックがかかるが決まらない。
鈴木謙一、別府匠も逃げを試みるも決定的な逃げにはならなかった。


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photo:Sonoko TANAKA


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photo:Aisan Racing Team


最初のスプリントポイント(40km)も1つの集団で進み、ポイントジャージを争う選手たちがスプリントをする。
スプリントポイントを過ぎて3名の選手が抜け出す。Carrera Sherwin選手(7 ELEVEN RACING TEAM)、Mahawong Prajak選手(GIANT ASIA RACING TEAM)、Patria Rastra選手(POLYGON SWEETNICE)。

メイン集団とのタイム差は1分ほど開いたが、リーダーチームのTABRIZ PETROCHEMICAL TEAM がコントロールしラスト10kmを切った最後の上り(標高差200m)で吸収。
そこからリーダーを含む4~6名の選手が抜け出す。愛三選手は匠がその後ろの第2グループで追走する。

先頭グループはそのまま逃げ切り、Zargari Amir選手(AZAD UNIVERSITY)がステージ優勝。愛三は別府匠がトップから31秒遅れのステージ9位でフィニッシュし個人総合を11位に上げた。謙一はステージ13位で個人総合を13位に上げた。


レースは地元の方たちと交流の輪が広がる
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田中光輝監督
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photo:Sonoko TANAKA


明日第5ステージはSawahluntoからBatusangkarまでの96.5km。途中このレースの名前にもなっている「シンカラ湖」を4分の3周する。
あと2ステージ、謙一と匠の個人総合順位を上げるよう最後まで頑張ります。(監督 田中光輝)


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今日は特別にある場所にカメラマン田中さんが潜入・・・。


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photo:Sonoko TANAKA


マッサージ部屋です。南国ならではの雰囲気です。
赤星マッサーの手で選手たちは毎日の疲れをほぐし、癒され、明日のレースに向けて体調を整えます。今回のエース鈴木謙一選手の顔が歪んでおります・・・・。
ステージレースでは、レース後選手たちがこのようにマッサージを受けています。その日のうちにしっかりと身体を整え次の日に備えています。


赤星マッサー
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別府選手は余裕な表情??
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photo:Sonoko TANAKA


また今日はこんな写真が届きました。
長距離を自転車で走る選手たちにとって、パスタやパン、米などの炭水化物は欠かせない重要な食べ物であり、日本でもヨーロッパでもロードレースの現場では珍しいものではないと思います。
しかしそこには隠された思いがありました。


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photo:Sonoko TANAKA


~現地のスタッフ渡会菜々さんからのリポート~

第4ステージが無事に終了しSawahlunto(サワルント)の街に滞在しています。レースは今日も沢山の方が沿道で声援を送ってくれていました。彼らにとってこのツールドシンカラは待ちに待ったイベントのようです。
レースがSawahlunto の街に入るとドライバーのDevi がいつもの通り冷静にポツリポツリと語り始めました。


左から2人目がドライバーのDevi(デフィ)さん。
一年ぶりの再会をお互いに喜び合う。(ミナンカバウ様式の建物の前で)
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photo:Aisan Racing Team


「このSawahluntoは観光に力を入れていきたいと頑張っているが、立地条件もありなかなかうまくいかない。宣伝をしたくてもそのために足を運んでもらうのすらなかなか難しい。
だからこの「ツールドシンカラ」はこの街にとって何より大切なイベントなんだ。国内外からレースをしに街に来てもらえる。そこにメディアもついてきてくれる。
普段は食べないスパゲッティやクロワッサンを用意し、また道路の整備もし、今年は宿泊もしてもらうように準備を進めてきたんだ。」


昨年この大会に参加し、お互いの相乗効果で発展して行けたらどんなに素晴らしいだろうと感じていました。その後地震のこともありましたが、選手もスタッフも皆が同じ思いを抱いたから、今年もこの地に帰ってきたかった。
綾部キャプテンは「お互いがお互いを必要としていて、自分たちはレースを走れるしその走りが地域発展や経済効果を生むなんて本当に素晴らしいです。」と話してくれました。


チーム、報道陣などレースにはたくさんの人が集まる
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photo:Sonoko TANAKA


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この国では国際免許が使えないため、レース時は現地の方がドライバーとして各チームのチームカーを運転します。
今回ドライバーを務めてくれているDevi(デフィ)さんは、去年も愛三レーシングに帯同し期間中運転してくださっていました。
そして「来年もしこの大会があってアイサンが参加したら、またアイサンのドライバーを絶対やりたい」と言ってくれていました。


お互いの本気の思いがお互いに混ざり合って、新しい気運を作り出す。
人々の表情、レースの様子から「ツールドシンカラ」開催に対する様々な思いを垣間見ることができます。
レースって常に当たり前に開催できるものではないと思います。日本のレースも不況や政策などでコンスタントに続かないものもあると思います。
ヨーロッパが本場のロードレース。
しかしアジアの国々で生まれ育ちつつあるこうしたレースの姿から、愛三レーシングも多くのことを学んでいます。


明日の「ディアサポーターズ」で現地からの貴重な情報をお伝えする予定です。インドネシアの歴史と文化、そして現地の人々の思い、選手の思いを感じていただけたらと思います。


残り2ステージ。明日の第5ステージはSawahlunto からBatu Sangkar までの102.4km。
現地時間午前9時、日本時間午前11時スタートです。

コメント(1)

現地の方々のイベント開催への想いが伝わってきて、ぐっとくるレポート、ありがとうございます。その期待にに応えるために、選手たちも、暑さや豪雨のなか、真剣に走っていることと思います。あと2日、スタッフの皆さんも含め、“いい仕事”で、インドネシアの復興のお手伝いをよろしくおねがいします!

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