旧サポーターズブログの記事

●選手の想いに思う

もともと取材から自転車の世界を知ったわけですが
最初は本当に何も分からない状態で、
愛三レーシングの紹介番組を作ることになったものの
「この目の前のイケメンたちをどう魅せていこうか」と
本気で悩みました。

番組を作るにあたっては、色々と準備が必要です。
本人、チームの情報、競技のルールを知ることはもちろん、
置かれている環境やこの世界での常識、などなど。

なかでも、一番気にしたことは
メディアの中でのルール(見せられ方)でした。

プロのチームや選手ですから、必ず条件やルールがあるだろうし
イメージもあるだろうし、スポンサーもいるわけで
だからこの世界での露出の仕方というものを知ることは
非常に大切なことでした。

知らないからといって、何をしてもいいわけではないですからね。

それを踏まえたうえで、この番組が流れる地域も考慮し
しかも「自転車競技」というものを知らないヒトに向けて発信する

うーん、今考えると無謀なことをしたのかもしれませんが・・・

そんなこんなで、去年の今頃は連日出勤し、
VTRをつなげてはやめ〜ナレーションをいじったり〜、と
なんだかんだ愛三レーシングにどっぷり漬かっていました。
(ああ、懐かしい!)


で。その際に膨大な量の資料を集め、ネットをフル活用し
調べに調べまくったわけです。

そんな中で疑問と驚きがありました。
私の中では、どんなスポーツでも「プロの選手」というものは
「メディアが意思や状況を汲み取って、発信されるもの。」
というスタイルができあがっていたんですよね。

専門の雑誌などがあり、選手や監督のインタビューなどがたまに載れば
初めて「表の顔」でない「本心」が垣間見ることができる。
そこでちょっと選手と近づいた気持ちになれる、
そんな感じで。


調べていくうちにまず驚いたのが
「選手が自分でブログやサイトをやってて、
 自分の気持ちやレースのことを普通に書いている」ということでした。

これは正直驚きました。
「え?いいの?」という感想でした。

その後、今の日本における自転車選手やチームの環境を聞き
メディアへの露出の少なさ、情報の少なさ、取り上げられなさっぷりを知り
なんとも切ないキモチになりましたね。

いちメディアに身を置く自分としては、
自転車競技というものは、かなり取り上げがいのある競技であり
切り口もありまくれば、素晴らしい選手もいるし
魅力は果てしないと考えます。

そういう気持ちをもっている方は、選手にも監督さんにもいて
今シーズン色んな動きが出てきて
(まあ自分がちょっと関わっているからそう感じるのかもしれませんが)

変わろうとしている雰囲気が、日本の自転車界を揺さぶっている感じで
去年自分が知ったときと、あきらかに情報量が違って
一年でこんなに変わるんだ、と正直驚いています。


そんな中、国内でもレースが始まり、
勝った選手、負けた選手が、自分のサイトで気持ちを表現しはじめました。

大変興味深いのが、
レースのことをしっかりと書いてくれる選手が何人かいますが
人よっては言い訳を書いているように見えたり、
課題を見つけているように見えたり、
しっかりと分析しているように見えたり、することです。

これは文章力にもよるのかもしれませんが
それだけではなく、
その選手の人柄や、選手としての心構えなんかも現れていて
ひとつのレースに何人もが参加し、色んな感じ方をしていることがよく分かり
読み比べると大変面白いです。

勝負をかけるということに身を置いている人たちは
感情や人生そのものを世間に晒しているわけです。
そういうのって、知ろうとしても知れることではない。
また、書いたり言ったりすることで、自らを鼓舞したりする。
言い聞かせたりする。戒めたりする。


この先たくさんのレースがあります。

名誉をかけたレース、守るべきタイトル、進退をかけたレース、
世界へのステップとなるレース…。
レースを終えるたび、
選手たちが自らの言葉でどんな風に振り返るのか
また、何を伝えたかったのか何をしたかったのか、それを知るのが楽しみです。

もちろん、このサポーターズブログでも
そんな選手の本当の声を、発信していきたいと思っています。
選手が輝いている姿を写真に残していきたいと思っています。


自ら感じた伝えたい思いとは違う、第三者だから感じられるもの。
それが、選手やチームとファンをつなぐものだと思うから。

一方的に発信することじゃない、つなぎたいんです。
すごいでしょ!と見せるだけじゃ、もうダメなんです、きっと。
一緒に作っていかないと、ダメなんだと思うんです。

今までメディアが密接に入っていなかったんだったら、
なるべく近いカタチで、言葉で写真で伝えたい、そう思ってます。

ここは「ファンサイト」ではなく「サポーターズブログ」ですから。