REPORT

10/11 Jプロツアー第54回経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ レポート

10月11日(日)
Jプロツアー
JBCF第54回経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ
距離:180km(6km×30周)
天気:曇時々晴

Jプロツアーの最終戦、経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップが群馬サイクルスポーツセンターで行われました。台風14号が接近していたため開催が危ぶまれましたが、台風の進路が変わり無事に開催されることになりました。

チームの作戦は、好調な大前翔で最後のスプリント勝負に持ち込み優勝することに絞りました。それには他チームの攻撃を避ける必要があり後半に人数が必要だったため、逃げにメンバーを入れずに集団をコントロールする方法を選びました。

Jプロツアーは、実際にレースを動かすことのできる力のあるチームが少ないので、例え少人数の逃げでもある程度強いチームが揃ってしまえば、集団をコントロールするチームが現れずレースが決定的になってしまうことが多々あります。また、エースの選手が入っていない逃げでも、サブエースなどを送り込み、そのままレースを決めてしまうこともあります。そうなると、終盤までレースをまとめたい場合は、状況次第ではライバルチームを頼ることができないため、自分たちでレースをコントロールできないと展開を思うように作ることができません。今回は、最後のスプリント勝負に作戦を絞ったため、大前翔に力を使わせずに最終局面まで備えてもらうため、チーム全員でレースを作っていく必要がありました。今年の愛三プロ1年目が3名いる若い選手の多いチームでしたが、この大一番で自分たちでレースを作って優勝することを目指す、まさに集大成のようなレースをすることになりました。

レースは序盤に5名に逃げが決まりました。5名とも年間ランキングに関係のなく、最後まで逃げ切る可能性が低い選手だったため、年間ランキングトップでチーム力のあるマトリックスは集団をコントロールしないことを選択。この状態であまりタイム差を広げると後半のスピードアップに苦しむので、スプリントで勝負したい愛三とブリヂストンが利害の一致で集団をコントロールすることになりました。愛三は住吉宏太キャプテンを中心に、中川拳、當原隼人、貝原涼太が協力して集団をまとめました。タイム差は3分くらいが理想でしたが、逃げのスピードも速くなく、メイン集団のスピードが遅いと集団がごちゃごちゃして位置取りの秩序も乱れてしまうので、2分くらいの差でコントロールされました。途中数名がアタックすることもありましたが、各チームのマークが厳しくすぐにメイン集団に戻りました。

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自分たちで集団をコントロールして、レースを組み立てていく。

終盤まで逃げた5名は残り9周でメイン集団に吸収されてレースは振り出しに戻りましたが、再び4名がアタックして抜け出しました。それまでコントロールに加わっていたブリヂストンも逃げにメンバーを入れたことで先頭を引くチームが愛三のみになり、草場啓吾が単独でタイム差をキープすることになりました。その4名も残り2周のメイン集団のペースアップで吸収。集団は大きいまま最終周回に入りました。

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チームメイトに守られて走る大前翔。

最後までばらける展開にならず、大前も伊藤雅和と岡本隼にサポートされて最後の勝負に挑みました。最後の勝負所の心臓破りの坂でマトリックスの選手たちがアタックを開始。大前はそのアタックにもう一歩でついていくことができず、3名に先行されてしまいました。その後、伊藤が大前に合流して必死に前を追いましたが、追いつくことは叶わず。大前はそのグループの頭を取り4位でのフィニッシュになりました。

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日本人では最高位。しかし"優勝"を目指していたので、決して満足できる結果ではない。

最終戦、愛三はチームとして選手全員で話し合い、自分たちの力でレースを組み立てて、最後まで理想の展開でレースをすることができました。ただ最後はマトリックスに力の差を見せつけられて表彰台を独占されてしまいました。展開的にはマトリックスも最後までエースを温存する作戦で、愛三も最後のエース勝負に持ち込みたかったので真っ向勝負の結果でした。勝つためには自分たちで理想のレース展開を作っていく必要がありますが、それは同時にライバルチームに余裕を与えてしまうことにもなります。最後はエース同士の争いでの悔しい結果になりましたが、自分たちで組み立てたレースで多くのことを学んで実行して、チームの成長も感じました。

最終戦の結果、大前は4位で年間個人ランキングで3位になり、チーム総合は4位でシリーズ戦を終えました。大前はエリート1年目ながら、どんなコースでも安定したリザルトを残し国内でトップレベルの力を見せました。

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経済産業大臣旗での団体3位の表彰台。

今年は新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、多くのレースがキャンセルになり、外出自粛もかかったことでなかなか思うようにいかないシーズンになりました。しかし、大会の開催にご尽力いただいた方々のおかげで、7月からレース活動を再開することができましたこと、チーム員一同、誠に感謝しております。また、このようなシーズンになりましたが、変わらず1年間応援してくださったファンの皆様、スポンサー・サプライヤーの皆様、チームを支える関係者の皆様にも感謝の意を伝えたいと思います。今シーズンも変わらぬご支援、ありがとうございました。

また来年も、世界に挑戦する愛三工業レーシングチームへのご声援を、何卒、よろしくお願いいたします。

Text : Takumi BEPPU
Photo : AISAN RACING TEAM

1011 経産旗リザルト.pdf

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