REPORT

4/29 第15回全日本自転車競技選手権大会ロード・レース リポート

第15回 全日本自転車競技選手権大会ロード・レース

岩手県・八幡平パノラマライン
15.8km×16周=252.8km

4月29日に岩手県八幡平で行われた第15回全日本自転車競技選手権ロード・レースに出場しました。今年は8月にロンドン・オリンピックが開催され、その選考も兼ねていることから、例年行われている6月ではなく、4月に行われました。

愛三工業レーシングは9人全員の参加で、オリンピック代表候補選考のランキングで上位に入っている西谷 泰治をエースに優勝を狙いました。作戦はゴールスプリントのある西谷を優位にスプリントに持ち込めるように、チーム全員で最後まで集団をまとめること。ゴールは上りに設定されていましたが、昨年優勝した別府選手がゴールスプリントで優勝をしていることから、西谷が得意としている勝ちパターンで勝負できると判断しました。

レースの序盤はチームの作戦通り特に問題のないチームと選手を絞って逃がす。9名の選手が先行。これはステージレースでは定石の作戦で、終盤に前を引く義務のあるチームをできるだけ多く集団に残すこと、そして先行する選手は力がないので自動的にメイン集団に帰ってくることによってメイン集団に残る選手たちの温存がはかれることが目的。特に今回は250kmにも及ぶ長丁場だったので、たとえ有力選手が入っていようと逃げ切りは不可能なことが予想されました。

タイム差はみるみる開いて10分以上。ここでコミッセールからメイン集団がタイムアウトになるというアナウンスがメイン集団に伝わる。しかしここでメイン集団を全員おろしたところで先頭の9人で250km勝負することができるのだろうか?ルールでは「メイン集団」からタイム差がついた場合の措置なので、そういう間違った情報よりも正確なルールを選手たちに伝えて欲しい。

途中4名の追走の中に中島 康晴が入っていたが、チームとして後半に選手が必要だったので回らないように指示。もし西谷だけで狙っていなかったら、もっと行かせて中島の持ち味を出してあげたかったが、今回は都合上しかたがない。この分はアジアツアーで発揮してもらうことにしよう。しかし今思えばもし彼らが先頭に追いついていたらタイム差はどんなになっていたんだろうか。

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一応先頭の9人は愛三がチームとして逃がしたので、福田 真平と木守 望が軽くコントロールをして差が開きすぎるのを防ぐ。本来は全く引かなくても先頭は帰ってくると思っていたので引く必要はなかったが、選手たちが不安になってしまったのでそういうときは止めても止まらないものである。

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コントロールが入ってからしばらくすると先頭から続々と選手が遅れていく。ペースはそんなに上がっていないのに前はペースの維持をしているだけでも辛そうである。レースが中盤にさしかかるときには5名にまで減っていった。タイム差も一気に5分前後まで縮まる。遅れた選手は1周でメイン集団に捕まる選手もいて、メイン集団がおろされていたら完走は何人になっていたんだろうと考えたけど、関係ないのですぐに考えるのをやめる。

そして終盤先頭が全員捕まってレースは振り出しに戻る。ここからが本当の勝負。しかしメイン集団はあまりアクティブに動かなかった。当初の予定では西谷と一緒にスプリントすることを嫌がる選手たちが、西谷を振り落とそうとアタックをするだろうと考えていたが、今回の最有力選手アルゴス・シマノの土井選手がかなりの自信を持っているようで、そしてみなその土井選手をマークしているようでメイン集団はとてもおとなしい。愛三としてはゴール前まで集団で行くことはありがたかったが、最後の勝負のときに上りのスピードで勝負が決まる可能性がでてきた。その場合はむしろチームには不利に働く。

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しかし愛三としては西谷以外の手はないので、シマノの阿部選手と宇都宮の普久原選手の逃げているときも中島 康晴が強力な牽引で逃がさない。だいたい最近はいつもこういう展開で、シマノ・宇都宮辺りがアタックすると集団は沈静化。他にアタックをしたり引くチームは皆無。明らかに集団内に「動ける選手」が少ない。ここも自分としては敗因で、昨年のようにもっと集団が活性化してみんなで脚を使ってくれたほうが、後半の上りのスピードが落ちるので助かったのだが、そうもうまくは進まない。やはり250kmという距離とほとんどが個人参加で、コンチチームといっても本当に勝負のできる選手があまりいない状況では、たとえ全日本といえどもそういうアクティブなレース展開は望めない。日本一の選手を決める大会だけど大牽制大会になってしまう。

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ラスト1周。盛 一大が集団前方でにらみを利かせて、周りの選手にプレッシャーをかける。そのままラストの上りの麓まで行き、そして一気に上りに強い選手たちが動き出す。西谷はそこに反応できず乗り遅れてしまう。やはり本人も言っていたが乗り込みが十分でない「一夜漬け」ではトップコンディションにある上りに強い選手とは差があるか。先頭に土井選手、宇都宮の増田選手、BSの清水選手が先行していたので、後ろはチームプレイの関係で西谷しか引く選手がいない。当初の予定ではここで3人いる予定だったので前半のツケが回ってきた。西谷はそのまま諦めずに先頭を追ったが、最後の最後でついてきていた1名にゴールでかわされて5位でフィニッシュした。どちらかと言えば西谷にとって苦手なコースで、苦しい戦いになったが、最後までエースとしての責任を持ち堂々と戦えたのは、彼のパフォーマンスの高さと責任感の強さのなせる業だろう。トップコンディションで臨めなかったことが残念でならない。

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優勝はアルゴス・シマノの土井選手。やはり自信があるだけのことはある、力の差を見せつける余裕なゴールだった。2位の増田選手はずっと後ろについていたが、最後で差し込めるだけの余裕がなかった。愛三はチームとして自信を持って人数を残し、他チーム・選手にプレッシャーをかけたつもりだったが、そこまでの強力なプレッシャーを作れなかった。存在感だけでしっかりとプレッシャーをかけれるくらいの威圧感が今のチームには必要だ。これからのレースで選手たちに自覚を与えることが今の自分のメインの目的だろう。

全日本選手権は終わりましたが、まだアジアツアーは続きます。次回のレースは5月8日から5月13日までマレーシアで行われるJelajah Malaysia (UCI 2.2)です。5月に入り、レースも増えるので再びUCIアジアツアーランキング1位に返り咲くことを目標にポイントを獲得していきます。そしてツアーオブジャパン、ツールド熊野と日本のレースもあり、みなさんに愛三工業レーシングの勇姿を見てもらう機会も増えます。

引き続きアジアNO.1を目指す愛三工業レーシングを応援よろしくお願いします。

Text : Takumi Beppu
Photo : Tsubasa Sawada (Special Thanks!)

第15回 全日本自転車競技選手権大会ロード・レース
結果
1位  土井 雪広(アルゴス・シマノ) 6時間55分38秒
2位  増田 成幸(宇都宮ブリッツェン)
3位  清水 都貴(ブリヂストン・アンカー)
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5位  西谷 泰治(愛三工業レーシング)
20位 伊藤 雅和
30位 盛  一大
38位 中島 康晴
39位 鈴木 謙一

DNF 綾部 勇成、品川 真寛、福田 真平、木守 望
出走145人/完走40人

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