ランカウイ「ツアーレポート」Day5

3月8日 帰国

 朝飯にカレーが食いたいなあ、と準備の整った朝食会場を未練たっぷりに見送りながらロビーに
降りると、ごま塩ひげのお爺さんがいて、「アイサン・ファンクラブの人間か?」と聞いてきます。
「そうだよ」と答えると「あなた方を迎えに来た」とおっしゃいます。なるほど組織委員会は
今朝はこの人を差し向けてきたんだな、と思うのですが、呉れた名刺はどっかの旅行会社のもの。

 「何か違いません? ぼくらはオーガナイザーを待ってるんですが」と確かめたら、菜々さん宛の
請求書を取り出してきて「大丈夫だ」とおっしゃるのですが、請求金額は1000ドル強。リンギット
ならともかく、米ドルではとうていこの場で払える金額ではありません。

 違うぞ、それは払えないぞ、もう払ったぞ、と様々な手真似身振りで伝えようとしましたが、
どうも通じてるのか通じてないのか。とりあえず「今は払わなくていい」ということだけ分かったので
空港へと出発しました。

 現地時間で6時過ぎ。夜の明けるのが遅いこの地方では、家々の窓に明かりがともる刻限です。
でもまだ渋滞してるわけはなく、7時過ぎには着いてしまいました。

 もちろんただで済むはずはなく、ごま塩ひげのお爺さんは「今払え」「いつになったら払うんだ」
「払う気があるのか」とおそらく言いたいのであろう意志を満面にみなぎらせ、よく分からない英語で
喋ってきます。こっちも分からないので埒があきません。とうとう菜々さんを呼び出し、電話口に
出てもらったら、お爺さんは瞬く間に説得されてしまいました。おみごと。

 「ま、これぐらいのことはあるよね」とすっかり動じなくなってしまったツアーメンバー。
もはやアクシデントは日常のことで、ミステリーでもサスペンスでも無くなってしまいました。
「信じられないぐらいでかいクロワッサンがある!」と相変わらず見るものすべてに食い付くO野
独り進歩がありません。

 香港への移動便はほぼ満席。機内で日記を書きつつ、トランジットの待ち時間に田中監督と
西谷選手にお願いしたインタビューの準備をします。レース後のハードな体調を考慮し、
チェックイン前のゲートで20分のスプリント勝負。久々にアドレナリンが出始めます。

 香港国際空港ではそのへんの電源をちょいと拝借し、パソコンを充電しつつキーボードに向かいます。
床に行儀悪くあぐらをかいてるO野はこの日記「のようなもの」を。ナカネGMは無線LANにつないだとたん、
「いつまで経ってもメール受信が終わらない」と画面を眺めて溜息をついてました。日本が近くなれば、
それだけ仕事も近くなる。夢のような5日間はそろそろ終わりです。

 田中監督と西谷選手が相前後してやってきたときには搭乗手続きが始まってたので、手間を惜しんで
立ったまま取材。こういう時は、まわりは全く見えません。足下に子どもがまつわりついてたとか、
ツアーのみんなが見てたとか、もう全然全く。約束の時間になったので打ち切ったときには、半袖なのにしっかりと汗をかいていました。

 Tグチ夫妻がどこかでビールを調達してくれたので、最後の打ち上げ。なんか無我夢中で呑んだら
香港を出たとたんにごとんと落ちました。

 飛行機に乗り込む際にまたまたまたまたTグチ夫妻に変事。クアラルンプールでは自分の座席に見知らぬ
オッサンが寛ぎモードで既に座っており、周りを見渡すとどう見ても満席。「マジ? ダブルブッキング??」
と思いきや、オッサンが席を一列間違えていただけだったそうです。

 香港→名古屋の機内は乗り込むと夫婦の座席が離ればなれだったとか。「新婚カップルじゃないけど、
旅の最後が別々の席って寂しくないですか?」(Tグチさん)。そらそうですよねえ。たまたま並びの席が
1セットだけ空いていたので席を移動して一件落着! だったそうです。

 「う〜ん、どこまでミステリーツアーは私たちに付きまとうのでしょうか」とぼやかれてましたが
こんだけ全部乗り越えてれば、憑いてきた魔物か悪霊の方でも参ってるのではないかと。

 O野の最後の機内食は、魚のあんかけ飯でした。後ろの座席で幸せそうに寝ていたS木くんは食い損ねないかな?
この細いご飯ともしばしのお別れ。パソコンの電池も危ないのでこのへんで閉じて「さすがに何もありませんでした」
と書いて終われればいいなあ、と思っていたのですが。

 飛行機が紀伊半島の上空に差し掛かり、今のうちにすませておこう、とトイレに入ってベルトをほどいた
途端に「ぶちっ」とバックルが丸ごとちぎれました。「着陸の時に何かあったら皆さんごめんなさい」
と冷や汗かきつつ、カメラを取り出す準備をした罰当たり野郎ですが、幸い飛行機は無事セントレアに舞い降りました。
「なんかネタはないかなあ」と鵜の目鷹の目で這い回っていた報いだと反省しております・・

 Tグチ夫婦から最後のツッコミ、もといメッセージ。

 『皆さんの事を「目に見えない敵と5日間戦ってきた同志」としか思えません。
  本当に楽しい旅でした。
  同志よ、再見!! ←何でか中国語(笑)』

・・それはひょっとして「次回ツアー・オブ・チンハイレイク編でお会いしましょう」ということでしょーか?

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